8月25日、奈良公園内において、人とのトラブル防止のため角鹿(オス鹿)の除角を、奈良の鹿愛護会スタッフが緊急対応で行いました。当会としては、引き続き鹿の安全とトラブル対策に万全を期していきます。
「生態」カテゴリーアーカイブ
獣医師コラム 鹿のプラスチックごみ誤食
ここ数年にわたって、奈良の鹿のプラスチックごみの誤食について調べてきました。そこで、これまでにわかったことを簡単に述べたいと思います。
まず、奈良の鹿のおよそ3頭に2頭は、胃の中にプラスチックごみが入っています。プラスチックごみの量は、数百グラム程度から3キロ以上まで様々です。
本来、鹿は草や葉などを主食とする草食動物です。それなのになぜ、レジ袋などのプラスチックを食べてしまうのでしょうか?それには、人間との関わりが大いに関係します。
奈良公園内では、鹿にしかせんべい以外の食べ物を与えることは禁止されていますが、おかしやパンなどの人の食べ物を与える人が、残念ながらいます。こういった食べ物を鹿に与えると、鹿は本来自分たちの食べ物ではない人の食べ物をえさと認識するようになります。そして、鹿はお菓子やパンの入ったレジ袋ごと食べるようになり、さらにはお菓子やパンの匂いがついたレジ袋さえも食べるようになります。
では、プラスチックごみは一体鹿の健康にどのような影響を与えるのでしょうか?これはゴミの量によります。例えば、数枚のレジ袋が胃の中に入っているだけであれば、それによって鹿の健康状態がすぐに悪くなることはそれほどありません。
しかし、ごみの量が数キロ以上だとどうでしょうか?その場合は、鹿の命を脅かすことにつながります。
私たちのところで保護した鹿の中で、プラスチックごみが直接の死因と推定される鹿の胃の中には、2.6キロ以上のプラスチックゴミの塊が入っていました。これだけ多くの異物が胃の中を占拠していれば、当然草などの本来の食べ物が入る隙間はありません。こういう鹿は、えさを食べることもできなくなり、ガリガリにやせ細って死んでいきます。
ところが、プラスチックごみは、さらに悪さをすることがわかってきました。今年に入って見つかった事例では、プラスチックごみが胃の中でつまったことで、急に胃内にガスが大量発生し、それが肺を圧迫して息が止まってしまった雄鹿がいました。見たところ、それほどやせてはいなかったので、急に具合が悪くなり、そのまま亡くなったのでしょう。その鹿の胃には、3.2キロのビニールが詰まっていて、胃の出口をふさいでいました。
また、今年交通事故で保護された若い雄鹿は、左後ろ肢を骨折していました。鹿が交通事故で骨折することはよくあります。骨折の程度にもよりますが、この鹿の骨折の場合はそれほどひどい状態ではなかったので、適切に治療すれば骨折はいずれ治るだろうと考えていました。ところが、事故の数日後に死んでしまったのです。
単純な骨折が理由で死ぬのは、どうもおかしいと感じたため、解剖を行いました。すると胃の中から3.6キロものプラスチックごみが見つかったのです。この鹿の場合、交通事故に遭うまでは、これだけの量のプラスチックごみが体内にあっても、なんとか生きてこられたのでしょうが、交通事故による骨折という悪い要因が重なって一気に全身状態が悪化しそのまま死亡してしまったと思います。
プラスチックごみも交通事故も人間が引き起こしたことです。こういう不幸な鹿が後を絶たないことについて、私たちは真剣に向き合っていかなければならないと思います。まずは、人の食べ物を鹿に与えないこと、そして奈良公園にごみを捨てないことです。私たち一人ひとりが気を付けることによって、鹿が安心して暮らせる奈良公園にしていきましょう。
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子鹿ちゃんだより39
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7月10日の子鹿ちゃん
子鹿たちも成長してきて隠れることが少なくなってきました。


子鹿だけで居たり、大人の鹿と一緒に居たりします。


以前はよく使っていた隠れ家も今は空室が目立ちます。
一方で数は減ったものの出産はまだ続いており、鹿苑にも最近生まれたまだ小さな子鹿(左)も居ます。右側の子鹿と比べて小さいですね。

今日も奈良公園で子鹿が産まれているという連絡がありました。
引き続き、子鹿を見かけても近寄らずにそっと見守っていただけるようお願い致します。
私たちの活動は、多くの皆様のご支援によって支えられています。 「奈良の鹿愛護会」に、ぜひご入会くださいますようお願い致します。 ご入会のお申し込みはこちら
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子鹿ちゃんだより37
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7月6日の子鹿ちゃん
雨の日が続いています。鹿たちも物陰で雨宿りしている様子が見られます。
雨が上がると待ってましたとばかりに遊び始める子鹿たちの様子を見かけることが多いです。
結構激しく動きますので写真がぼけているのはご容赦ください。


むちゃくちゃにジャンプする子鹿

わざと他の子鹿にぶつかる子鹿

特に理由もなく全力で走る子鹿
雨上がりのハイな子鹿たちの様子でした。
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子鹿ちゃんだより34
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7月1日の子鹿ちゃん
今日から7月に入りました。
鹿苑で保護している子鹿ちゃんたちも成長してきています。
お母さん鹿のお乳とは別に牧草を食べ始めたり、隠れ家から出ることが
長くなってきている子鹿ちゃんたちもいます。


隠れ家にいる隠れ上手の子鹿ちゃんたちもいます。


奈良公園内で出産する母鹿もいます。
公園内を歩いている少し成長した子鹿ちゃんを見かけても近づいたり、
追いかけたりするのはやめてあげてください。
突然走りだして、道路に飛び出してしまうことがあります。
適切な距離を保ってあたたかく見守ってあげてくださいね。
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子鹿ちゃんだより33
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6月30日の子鹿ちゃん
国の天然記念物「奈良のシカ」愛護月間最終日です。
鹿苑でも奈良公園内でも子鹿が誕生しています。 奈良公園内で子鹿を見つけても離れて、そっと見守ってください。 鹿の赤ちゃんには絶対に触らないでください。 人の匂いがついてお母さん鹿がお乳を与えなくなることがあります。 お母さん鹿に注意してください。 お母さん鹿は母性本能が強く、人が鹿の赤ちゃんに近づいたりするだけで 攻撃してくることがあります。 皆さまのご協力よろしくお願いします。


今日は雨がずっと降っていたのでお母さん鹿と一緒に雨宿りをしています。

3頭で仲良く雨宿りしている子鹿ちゃん。


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