1頭去ってまた1頭

シカは集団で生活する生き物です。進行方向はみんなといっしょ、前にいるシカが走っていたら自分も走るといった具合です。
鹿苑内にいるシカたちも食べるときはみんなといっしょです。

みなさんの中には、奈良公園で鹿せんべいを1頭のシカに与えたら、次から次へと他のシカたちがやってくるのを体験したことがある人もいるのではないでしょうか。シカは周りにいる他のシカたちの動きを見ていないようで、よく見ています。1頭のシカが鹿せんべいをもらっているのを見つけると、すぐ近くにいるシカたちが気づいて鹿せんべいに向かってやってきます。そうすると、もっと遠くにいるシカたちが鹿せんべいに群がっているシカたち(鹿せんべいには気づいていないかもしれない?!)に気づいてやってくるのです。
しかし、このように群れで行動することで、思わぬ災難に見舞われることがあります。
奈良の鹿愛護会で治療しているこの雌鹿は、奈良公園近郊で車にひかれました。

車を運転していた人の話によると、1頭のシカが道を横切るのを見届けたので、特に車を減速せずに時速50キロくらいのスピードで走っていたら、別のシカが道を横切ろうとして、当たってしまったとのこと。
幸い人と車は無傷でしたが、このシカは左前肢を骨折し、右後ろ足に大きな裂傷、顎も折れており、立ち上がることはおろか、エサを満足に食べることもできません。残念ながらこの先元気になる見通しが立っていない状態です。
車の運転中に奈良公園やその周辺でシカが道を渡っているのを見かけたら、もちろんそのシカに注意して運転することは必要ですが、そのシカが通り過ぎたからと言って一安心するのは禁物です。なぜならシカの習性上、別のシカが後をついて道に現れる可能性があるからです。ぜひ道の両脇にシカがいないか確認しつつ、ゆっくり運転しましょう。ドライバーのみなさん、シカにやさしい運転をよろしくお願いします。

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“1頭去ってまた1頭” への2件の返信

  1.  鹿が、連動する生態があるとは、知りませんでした。こちらの説明で鹿の生態がよくわかりました。鹿せんべいをやると我も我もとやってくるのは私も経験しましたが、「鹿せんべいをもらっている鹿がいるのを見つけて、自分も食べたいから」来るものだとばかり思っていました。
     それにしても、この牝鹿ちゃんがかわいそうです。このような鹿ちゃんをお世話して下さるスタッフの皆様のお気持ち、お察し申し上げます。
    2020年の交通事故死亡鹿数はたしか100頭超えでしたっけ、、いくらなんでも多すぎると思います。奈良にいる鹿さんの10%近くなんて!?
    「連れ鹿注意!」のような道路標識で、注意喚起できないものでしょうか?
     または、「事故ワースト3か所」にもっと街灯を増やす申請をしたらいいかがでしょう?  市道ならば、市に聞けば、管轄の課この悲惨な現状を訴えてみてはいかがでしょうか。奈良の鹿さんは、だいじな観光資源で天然記念物なのに、こんなかわいそうな鹿さんが毎年たくさんいるなんて、あまりに悲惨です。
    最近知ったのですが、私の家の前の街灯が夕方、15分くらいチラチラ点滅を繰り返しまぶしいので、市役所に知らせたところ「明るさセンサーの調子が悪いのでしょう」とすぐに飛んできてくれました。明るさセンサーは調節可能で、「もっと周りが明るい時から点灯させたい」ならばそのようにすることもできるとか。そちらの街灯が同じ方式かは不明ですが、明け方や、夕方の点灯時間帯を多くするように頼んでみてはいかがですか? 少しは交通事故が減るかもしれません。
     私は昨年11月に奈良へ行きました。奈良は、東京に比べ、道が暗くて驚きました。春日大社の万燈籠を見に、夜、タクシーで行ったとき、運転手さんが「この辺は真っ暗で・・・冬毛の鹿はお尻しか白くないから、よほど近くならないとわからないので、ホント怖いんです、運転するのが」とおっしゃっていたのが印象的でした。
     グーグルのストリートビューで確認したところ、大宮通りは、観光のメインストリートであるにもかかわらず、片側しか街灯がない、というのも不思議でなりません。
     あれでは、鹿さんを発見しにくいのも無理ないのでは?? 奈良市はもっと街灯を設置するべきです。地元の方なら、「この道は鹿がいて危険」というのをご存じでしょうが、他所から来る観光客はそんなことは知りません。両側に該当設置する予算がない、なら片側の街灯を1本につき2つつけるとか、方法はあるのでは?
     昨年の、鹿を殺した犯人の動機は、「自分の車に鹿がぶつかってきたから」だったと思います。そんなひどい事件も、道が明るければ、起こらなかったかもしれません。
     もっともっと道を明るく照らせば、鹿さんの交通事故数は減らせると思いコメントさせていただきました。
     

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