《奈良のシカ愛護月間特別企画》「奈良のシカ」の治療見学ツアー~非公開エリア特別公開~1回目

先日ブログでお知らせした鹿の治療見学案内ツアーが無事終了しました。

この日は4名の方が参加しました。(1名は、体調不良のため、残念ながら欠席でした。)

皆さん、鹿への興味と愛情にあふれた方々です。

さて、見学ツアーでは、初めに鹿苑での鹿の治療やこの日治療予定の鹿について、説明を聞いた後、治療中の鹿のいるゾ-ンへ移動します。

こちらは重傷の鹿の様子をみる場所です。

こちらにはそれほど重傷でない鹿や経過観察の鹿がいます。本日はこちらにいる鹿の治療をしました。

まずは麻酔についての説明を聞きます。

そして麻酔のかかった鹿を治療する部屋に運びます。

治療風景です。この雄鹿は10月31日に右前肢骨折したため保護しました。

骨折した所が治っているかレントゲンで確認しています。なんとか折れていた骨はくっついていました。よかったよかった…。

あとは麻酔を覚ます薬を注射し起きるまで見守ります。

無事に麻酔が覚めて起きてくれました。もう少し様子を観察して終了です。

皆さんとても熱心に聞いておられました。質問もたくさん出て、鹿のことを知りたい気持ちがとても良く伝わってきました。

皆さんお疲れ様でした!

バンビシャス奈良様、エニタイムフィットネス様と合同清掃活動!

2020年11月18日(水)12時から13時に、
バンビシャス奈良様、エニタイムフィットネス様と奈良の鹿愛護会
合同で奈良公園の清掃活動を実施しました!

清掃活動では8キロのゴミを回収しました!

バンビシャス奈良様のチームキャラクターの
「シカッチェ」もかけつけてくれました!!

バンビシャス奈良様、エニタイムフィットネス様
天然記念物「奈良のシカ」の生息環境美化のために
ご協力いただきまして本当にありがとうございました。

奈良のシカ保護啓発パネル展示

11月は国の天然記念物「奈良のシカ」愛護月間です。
奈良公園バスターミナルで2020年11月6日(金)~11月16日(月)の期間で
奈良のシカ保護啓発パネル展示を行っています。
生態や保護施設「鹿苑(ろくえん)」についてやゴミ問題について展示しています。
奈良公園バスターミナル東棟1Fで展示していますので、ぜひご覧ください。

奈良公園の鹿の交通事故防止活動

11月は「天然記念物 奈良のシカ愛護月間」です。
愛護月間の活動として奈良公園の鹿の交通事故防止のために
鹿の警戒標識・反射鏡の点検、清掃活動を実施しました。

鹿は急に道路に飛び出すことがあります!
奈良公園全体が、鹿の生息地です。
その中でも、「鹿の飛び出し注意」の標識がある場所では
鹿がよく道路を横断します。
特に注意して鹿に優しい運転をお願いします!
「ゆっくり走って守ろう、奈良のシカ」

11月は国の天然記念物「奈良のシカ」愛護月間です

奈良の鹿愛護会では、毎年6月・11月を「奈良のシカ愛護月間」と定め、
奈良公園来訪者などへの周知啓発を目的に天然記念物「奈良のシカ」を守る様々な啓発活動を行います。

【奈良のシカ愛護月間の主な活動】

1.奈良公園の鹿の交通事故防止活動
日時:令和2年11月2日(月)13時~15時※雨天決行
場所:奈良公園道
内容:鹿の警戒標識・反射鏡の点検、清掃活動

標識清掃(昨年)

2.奈良のシカ保護啓発パネル展示
日時:令和2年11月6日(金)~11月16日(月)
場所:奈良公園バスターミナル内

パネル展示(昨年)

3.保護啓発活動・募金活動
日時:11月中
場所:奈良公園等
内容:巡回パトロール、チラシ配布及び募金活動等



4.鹿まつり(慰霊祭)
日時:令和2年11月20日(金)10時執行
場所:鹿苑角きり場

5.第16回国の天然記念物「奈良のシカ」保護啓発ポスターコンクール
コンクールについては>>>こちらをご覧ください

表彰式(昨年)

6.「みんぱく秋まつり」どんぐりツアー&ラリー
日時:令和2年11月23日(月祝)10時~16時※荒天中止
場所:大和民族公園
共催:奈良県立民俗博物館
内容:大和民族公園内でどんぐりの解説と収集、鹿の生態や保護活動を紹介
くわしくは>>>こちらをご覧ください

坂の上のシカ

先日、奈良のシカの交通事故を目撃した方から、シカの交通事故を防ぐために車を運転する際、私たちが気を付ける場所について、有益な情報をいただきました。みなさんにもお知らせします。

近鉄奈良駅から県庁にかけて東に向かう道は車線が多く、車は結構スピードを出して走っています。

この道は緩やかなカーブを描いた坂道となり、県庁へ続いています。

こうして見ると、カーブを上り切った先にシカがいても、非常に気づきにくいことがわかりますね。

さらに道沿いにはたくさんの看板があり、看板のかげに隠れていたシカが不意に車道にとび出してきたらと考えただけで、ひやひやします。

県庁前の道路です。ここも交通事故で多くのシカが命を落としました。

秋に入って、今年生まれの子鹿も交通事故に遭遇しています。みなさん、どうぞシカにやさしい運転をお願いします。

奈良公園での角きり⑤(非公開)

8月31日、9月1日も奈良公園内において、人とのトラブル防止のため角鹿(オス鹿)の除角を、奈良の鹿愛護会スタッフが緊急対応で行いました。当会としては、引き続き鹿の安全とトラブル対策に万全を期していきます。

※角が切られていてもオス鹿は力が強く危険です。

※オス鹿同時がケンカをしている場合は大変危険です。決して近づかないでください。

写真のような角があるオス鹿は大変危険です。
奈良公園で見かけても、決して近づかないでください。

獣医師コラム 鹿のプラスチックごみ誤食

ここ数年にわたって、奈良の鹿のプラスチックごみの誤食について調べてきました。そこで、これまでにわかったことを簡単に述べたいと思います。
まず、奈良の鹿のおよそ3頭に2頭は、胃の中にプラスチックごみが入っています。プラスチックごみの量は、数百グラム程度から3キロ以上まで様々です。
本来、鹿は草や葉などを主食とする草食動物です。それなのになぜ、レジ袋などのプラスチックを食べてしまうのでしょうか?それには、人間との関わりが大いに関係します。
奈良公園内では、鹿にしかせんべい以外の食べ物を与えることは禁止されていますが、おかしやパンなどの人の食べ物を与える人が、残念ながらいます。こういった食べ物を鹿に与えると、鹿は本来自分たちの食べ物ではない人の食べ物をえさと認識するようになります。そして、鹿はお菓子やパンの入ったレジ袋ごと食べるようになり、さらにはお菓子やパンの匂いがついたレジ袋さえも食べるようになります。
では、プラスチックごみは一体鹿の健康にどのような影響を与えるのでしょうか?これはゴミの量によります。例えば、数枚のレジ袋が胃の中に入っているだけであれば、それによって鹿の健康状態がすぐに悪くなることはそれほどありません。
しかし、ごみの量が数キロ以上だとどうでしょうか?その場合は、鹿の命を脅かすことにつながります。
私たちのところで保護した鹿の中で、プラスチックごみが直接の死因と推定される鹿の胃の中には、2.6キロ以上のプラスチックゴミの塊が入っていました。これだけ多くの異物が胃の中を占拠していれば、当然草などの本来の食べ物が入る隙間はありません。こういう鹿は、えさを食べることもできなくなり、ガリガリにやせ細って死んでいきます。
ところが、プラスチックごみは、さらに悪さをすることがわかってきました。今年に入って見つかった事例では、プラスチックごみが胃の中でつまったことで、急に胃内にガスが大量発生し、それが肺を圧迫して息が止まってしまった雄鹿がいました。見たところ、それほどやせてはいなかったので、急に具合が悪くなり、そのまま亡くなったのでしょう。その鹿の胃には、3.2キロのビニールが詰まっていて、胃の出口をふさいでいました。
また、今年交通事故で保護された若い雄鹿は、左後ろ肢を骨折していました。鹿が交通事故で骨折することはよくあります。骨折の程度にもよりますが、この鹿の骨折の場合はそれほどひどい状態ではなかったので、適切に治療すれば骨折はいずれ治るだろうと考えていました。ところが、事故の数日後に死んでしまったのです。
単純な骨折が理由で死ぬのは、どうもおかしいと感じたため、解剖を行いました。すると胃の中から3.6キロものプラスチックごみが見つかったのです。この鹿の場合、交通事故に遭うまでは、これだけの量のプラスチックごみが体内にあっても、なんとか生きてこられたのでしょうが、交通事故による骨折という悪い要因が重なって一気に全身状態が悪化しそのまま死亡してしまったと思います。

プラスチックごみも交通事故も人間が引き起こしたことです。こういう不幸な鹿が後を絶たないことについて、私たちは真剣に向き合っていかなければならないと思います。まずは、人の食べ物を鹿に与えないこと、そして奈良公園にごみを捨てないことです。私たち一人ひとりが気を付けることによって、鹿が安心して暮らせる奈良公園にしていきましょう。