前肢を骨折した雌鹿と子鹿

今年の3月22日に奈良公園内で交通事故に遭遇し、右前肢を骨折した雌鹿を保護しました。折れた前肢は骨が粉々に砕けており、一時は右前肢を断脚することを検討するほど重症でした。幸い、右前肢は残すことができ、まだ折れた骨の断片が見えていますが、ゆっくり治ってきています。↓

この雌鹿が5月7日に子鹿を出産しました。妊娠鹿が交通事故で重傷を負った場合、流産または死産になることがよくあります。ですが、この子鹿は無事でした。産まれた直後は、物陰に隠れて寝ていることが多かったのですが、1週間くらいすると活発に動き回るようになりました。↓今日も親鹿が他の鹿といっしょにエサを食べている間、一頭で探索しています。

この子鹿と母鹿がいっしょにいるところをほとんど見たことはありません。わりと放任主義のお母さん鹿ですが、子鹿が元気に育っていることからすると、人が見ていないところできちんと子育てしているのでしょう。

同じように奈良公園でも母鹿といっしょにいない子鹿をよく見かけます。親鹿といっしょにいないと心配する人がおりますが、こういう場面では子鹿をそっとしておいてあげてください。時間が経てば母鹿が子鹿を探しにやってきます。それから生まれて数日以内の子鹿は物陰でじっとしていることが多く、あまり動きません。それを弱っているのでは?と勘違いして、子鹿に近づく人もいらっしゃいますが、生まれて数時間以内に立ち上がることができる子鹿といえど、生後1週間ほどは大人の鹿のように動き回りません。逆に子鹿の周りに人がいると、母鹿が子鹿の世話をしにやってきても、子鹿に近づけません。

鹿の生態をご理解いただき、そっと見守ってあげていただきますようお願いいたします。

“前肢を骨折した雌鹿と子鹿” への1件の返信

  1. 奈良リピーターです。今は愛護会の会員にもなり、セミナーにも参加して、このブログに書かれているようなことを理解しましたが、1.2回目の旅行客の時は何も知らず、おせんべをあげようと追いかけ回す、子鹿をさわるなどしていましたし、お母さんがいないと心配でたまりませんでした。日本人でさえこんな状況ですから、ほとんどの外国人観光客は知ることもなく鹿と接するでしょう。旅行客が早い段階で鹿さん達のことを知ることができるように告知して行くことが必要だと思います。

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