交通事故に奪われた小さな命

先日ブログを見た方々から奈良公園内で交通事故に遭遇した雌鹿が、その後どうなったか、お問い合わせをいただいているのでお知らせします。

例の雌鹿を鹿苑で数日間治療したところ、幸い元気を取り戻したため、先週の終わりにほかの治療中のシカたちがいるエリアに移しました。

ところが昨日からいきむような仕草が数回観察されて心配していたら、今朝がた胎仔の肢がしっぽの下から出ているのを発見しました。

自力で出産するのは難しそうだったので、麻酔をかけて人の手で胎仔を引っ張り出すことにしました。胎仔を取り出して驚いたのは、胎仔の右の大腿骨が皮膚を突き破って外に飛び出していたことです。おそらく母鹿が交通事故に遭ったときの衝撃で骨が外に出てしまったのでしょう。そして残念ながら死産でした。

母鹿の方は奈良の鹿愛護会で保護した当初より痩せていましたが、麻酔からの覚めに問題はありませんでした。現在の様子は下の写真の通りです。子鹿を産んでお腹のところがくぼんでいるのがおわかりでしょうか?

雌鹿からはこちらを警戒している様子がうかがえますが、目はしっかりしています。今後エサを食べて順調に回復するようであれば、奈良公園に解放することができるでしょう。しかし、子鹿の命はかえってきません。

ドライバーの皆さん、奈良公園を運転する際はくれぐれも安全運転を心がけてくださいますようお願いします。鹿は急に道路に出てくることがあります。また夜間は鹿の姿が非常に見えにくくなります。これ以上鹿の交通事故を増やさないためにも、慎重な運転をお願いします。

私たちの保護活動は皆さまからの
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“交通事故に奪われた小さな命” への1件の返信

  1. 観光客がコロナ前のように増えて、その何もわからずただ何の知識もないまま 鹿たちを追いかけ怖がらせ、そして道路に飛び出る鹿さん。してはいけないことの数々を もっと観光客の方に啓発できないのでしょうか(子鹿には決して触らない等、旅行会社と連携などできないのでしょうか)

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