1歳齢の雌鹿の第一胃からプラスチックごみ!

レジ袋が有料化されて約1年経ちました。奈良公園でプラスチックごみを誤食して死亡する鹿が減ったのでは、と期待する声もありますが、残念なことに昨年7月以降もシカのプラスチックごみ被害は続いているようです。

この写真は7月20日に解剖した1歳齢の雌鹿の第一胃から見つかったプラスチックごみです。重量は約20gでそれほど多くはありません。問題は、このシカが発育状態からみてプラスチック袋が有料化されてから誤食したと思われるということです。

つまり、レジ袋が有料化された後も人が捨てたプラスチックごみをシカが誤って食べてしまう事故は起きているということです。

今回のケースでは、保護した時点でシカはガリガリに痩せており、解剖した結果、病気にかかっていたことがわかりました。しかし、プラスチックごみが第一胃の奥の方に詰まっており、それより先の消化管に食べ物があまり入っていなかったことから、プラスチックごみが食べ物の通過を邪魔して栄養不良となり、死亡に至る原因の一つになったのでは、と推測されました。

現在、奈良公園内のシカだけでなく、海鳥や海洋生物たちも人が捨てるプラスチックごみによって健康被害を受けています。奈良公園内に限らず、プラスチックごみをできるだけ減らす、そしてプラスチックごみは環境中に捨てない社会になってほしいと、死亡した雌鹿を前に思いました。

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