実習生がきました。

はじめまして!北海道大学獣医学部3年の馬杉です。今回9/2から2週間ほど実習生としてスタッフの皆さんのお手伝いをさせていただいています。

身近に生息する野生動物がそれらと共生するために関わり、必要なときには治療などを行うという奈良ならではの貴重な体験ができて、毎日とても充実した楽しい実習をさせてもらっています!

私は近鉄奈良駅から25分ほど歩いて事務所まで来ているのですが、その途中にたくさんの鹿や観光客とすれ違います。まだ観光客の少ない朝はすれ違う人の数より鹿の数の方が多く、のんびりしている鹿たちを眺めながら歩くと朝から癒やされた気分になります。

そんな道中に何度か見かけた印象的な光景の1つが、鹿が道路を渡るのを自動車が徐行したり停止したりして待っている、というものです。観光客はその様子を喜んで写真に収めようとしていましたが、きっと運転手の方は危ないとヒヤヒヤするし急ぎたい気持ちもあるでしょう。なのに誰もクラクションを鳴らしたりせずに温かく見守る光景は本当に素敵でした。そしてそれが1度ではなく、何度も見られて心が温かくなりました。

その一方で交通事故が増えている現状があることも今回の実習で実感しました。

私は獣医師の先生の治療をお手伝いさせてもらう機会が多いのですが、治療する鹿のほとんどが交通事故による骨折やケガで運ばれてきたものです。また実際にケガの通報で運ばれてくる鹿も何頭かいて、治療しました。

まだ治療中の鹿は鹿苑内で保護していますが、数日見ていただけでも座ったままだったのが立って歩くようになったり、脚を上げて歩いていたのが着くようになったり、傷口が塞がっていたり、治療の効果実感できる機会が何度もありました。また私にはわかりませんでしたが、先生曰く食べるエサの量や肉付きでも元気になってきてるか判断できるそうです。

自然界では歩けないまま放置されれば死んでしまいますが、ここで元気になって野生復帰の準備をしているのを見ることができて嬉しい気持ちになり、とても安心しました。

先生に話を聞くと、骨折が治るのには早くても2~3週間必要で、中には普通に歩くまで数ヶ月かかったり傷口から感染症にかかってしまうものもいるそうです。また野生の鹿ですから、治療だってどうしても負荷がかかってしまいます。

治療できるとはいえ、やはり鹿が交通事故の被害に遭わないのが一番だと思います。

愛護会では道路標識の設置などの取り組みもしていますが、あの静かに鹿の道路横断を見守ってくれていた運転手さんたちのように気をつけてくれる人が少しでも増えてくれればいいなと思いました。

少しでも交通事故で運ばれてくる鹿が減りますように!

そしてここで治してもらった鹿たち、もう運ばれてこないように気をつけて元気に過ごしてね!

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